「拝啓」と「かしこ」の意味
「拝啓」など、手紙の文頭に添える言葉を「頭語」と言います。また、「かしこ」など、手紙の末尾に添える言葉を「結語」と言います。頭語と結語は数多くありますが、この記事では一般的によく使われる「拝啓」と「かしこ」に絞り、続いての項目で「拝啓」と「かしこ」、それぞれの意味をご紹介しましょう。
拝啓
「拝啓」は、「謹んで申し上げる」という意味を持つ頭語の一つです。自分を一段下げた謙譲の表現と言えるでしょう。一般的には手紙の冒頭で「拝啓」と書き出した場合、その末尾に「敬具」という結語が添えられます。「敬具」の意味も「拝啓」と同じで、この2つでワンセットと覚えるとよいでしょう。
かしこ
漢字で「畏」と書き、「充分に意を尽くす手紙になっておらず恐れ入ります」という意味の言葉です。もともとは仮名文書の末尾に使われていたので、「かしこ」とひらがなで記述します。「かしこ」と対になる頭語は「拝啓」に限りません。また、頭語なしで文末に「かしこ」と結ぶのみという使い方も可能です。
「拝啓」と「かしこ」は女性が使うのか
社会人であれば、「拝啓なら見たことがある」という人もいるでしょう。ビジネス文書でも、案内状などで見掛ける機会がある言葉です。
一方「かしこ」は、ビジネス文書ではあまり見かけないのではないでしょうか。ネットで調べると「かしこは女性が使う結語」と見掛けたことがある人もいるでしょう。
次の項目で、「女性が使う言葉なのかどうか」について詳しく説明していきます。
「拝啓」は男女共に使う
この記事の冒頭でも軽く触れましたが、「拝啓」と対を成す結語として「敬具」があるように、ビジネス文書においても、「拝啓」は男女共に使うことが可能です。また、「謹んで申し上げる」という意味を持つ頭語なので、主文の内容に関わらなず使える頭語でもあります。その汎用性の高さから、一般的に手紙でよく用いられる頭語とされています。
「かしこ」は現在だと女性が使う
仮名文字が生まれてから近代までは、「かしこ」という結語を男性も使っていたとのことです。意味も「(意を尽くし切れず)畏れ多いですが」という慎みのあるものですが、仮名文字ということもあり、正式な文書よりもフランクな場面で「かしこ」を用いることが多かったとのことです。
そのような認識の歴史があるため、近代から現在では女性のみが「かしこ」を使う習慣になっているとのことです。
「拝啓」と「かしこ」の使い方
- ※画像はイメージです出典: 書き込み はがき 手紙 · Free photo on Pixabay
「拝啓」と「かしこ」の意味はここまでの中でご紹介したとおりですが、では、具体的にどのように「拝啓」や「かしこ」を使えばよいのでしょうか。続いての項目で「拝啓」と「かしこ」の使い方を紹介していきましょう。
個人的な手紙
1行を使って「拝啓」のみで書き出します。このとき、行頭の空マスは不要です。2行目の行頭に1文字分の空マスを入れ、時節の挨拶と先方への気遣いの言葉を書きましょう。3行目から手紙の本題を記述し、本文を書き終えた次の行で「かしこ」と結語を書きます。繰り返しになりますが、「かしこ」の結語を使えるのは女性が手紙を書く場合に限ります。
ビジネスの場での手紙
ビジネス文書は簡潔明瞭を心掛けましょう。1行目に「拝啓」と入れたら、1文字分の空マスのあとに文章を続けて構いません。ほとんどのビジネス文書では、時候の挨拶文と先方をたたえる言葉へと文章が続き、常日頃のお付き合いへの感謝の言葉で序文を記述しています。
それ以降の文章は、手紙と同様です。ただし、この場合は「かしこ」を用いず「敬具」を結語として用いています。
「拝啓」と「かしこ」の書き方
近年は横書きの文章を見る機会が多くなったことに加え、手紙を読み書きする機会が減ったため、レイアウトという面でもどう書けばいいかと悩む人もいるでしょう。次の項目で、それぞれの書き方や、「拝啓」「かしこ」以外の頭語や結語を紹介していきます。