家紋について知りましょう
みなさんは自分の「家紋」をご存知でしょうか。
家紋について詳しくは知らなくても、時代物のドラマや映画、または神社などで目にしたことがあるでしょう。
現代では一般家庭では見ることのなくなった家紋とは、家別の紋章です。家紋は世界中に存在し、日本国内では2000種類以上と言われています。
自らの出自や家柄、さらには地位を表すために使われており、昔の人々はその家紋を見るだけでどこの家の者なのか判断ができたと言います。家紋はそれだけ人々の間に浸透していました。武具や鎧などに好んで付けられたのも、自分がどこの誰であるのか一目で判断できるためと言われています。
今回は数ある家紋の中で、特に有名な「三つ巴」の家紋について詳しく見ていきましょう。
三つ巴の家紋とは?
まず「三つ巴」とはどのような模様なのかを知りましょう。
「巴」とは英語で使うコンマや勾玉のような、丸にチョンとしっぽのついた日本の伝統的な模様の総称です。その巴模様を3つ集めたものが三つ巴模様と呼ばれています。
神社の神紋や漫画などでも使用されていたので、目にしたことがある方も多いでしょう。
三つ巴の家紋の武将や幕臣は?
三つ巴の家紋は、武運の神八幡神の神紋として使用されていることから、武将や幕臣たちにとても人気がありました。どのような武将たちが使っていたのか見ていきましょう。
三つ巴とよく似た「二つ巴」の家紋を使っていた有名な武士もご紹介します。
「剣豪」宮本武蔵
言わずと知れた剣豪、宮本武蔵の家紋は九曜巴紋(くようともえもん)です。
現在の兵庫県に当たる播磨国出身の宮本武蔵は、二天一流兵法の祖とされ、佐々木小次郎との源流島の戦いはあまりにも有名です。芸術にも長けており、水墨画家としても名前を知られています。
そんな宮本武蔵の家紋、九曜巴紋は中央に大きな三つ巴紋があり、その周辺に8つの小さな三つ巴紋をほどこしたものです。
九曜とは陰陽道などの占いに使われた天体を神格化した模様です。その九曜と三つ巴紋を合わせて家紋としていました。
「五大老」小早川隆景
あの豊臣秀吉の五大老の一人であった小早川隆景の家紋は、左三つ巴です。
小早川隆景は名字が違うので分かりにくいのですが、現在の中国地方全域をおさめた毛利元就の三男です。
豊臣秀吉からの信頼がとても厚く、豊臣政権を担う五大老の一人として任命されました。
「鬼の副長」土方歳三
新撰組、鬼の副長として名高い土方歳三の家紋は「左三つ巴」です。
現代でも人気がある土方歳三は、実は農家の出身です。もともと武士の身分ではありませんでしたが「武士になる」と言う目標を持ちそれを叶えた人物です。
新撰組を結成後も身分にとらわれず、たくさんの浪士たちを隊員として迎え入れました。その元浪士の隊員たちをまとめ上げるために「局中法度」を設け、破った者には切腹を命じていたことから「鬼の副長」と呼ばれるようになりました。
そんな土方歳三の家紋の「左三つ巴」には、「厄災から身を守る」と言う意味が込められています。
「忠臣蔵」大石内蔵助
赤穂浪士、大石内蔵助と言えば名前を聞いたことはあるでしょう。
大石内蔵助はいわゆる「忠臣蔵」の主人公で、歌舞伎や人形浄瑠璃、現代では年末年始にドラマが包装されるなどとても人気があります。
ドラマや歌舞伎では君主浅野内匠頭(あさのたくみのかみ)の無念を晴らすために、その家臣であった大石内蔵助ら47人が吉良上野介を打ち取り、その後幕府の命に従って切腹すると描かれていますが、本当の動機などは不明とされています。
そんな浅野家家老、大石内蔵助の家紋は三つ巴ではありませんがよく似た「右二つ巴」です。
大石内蔵助を含む家臣らを祀っている兵庫県赤穂市にある「赤穂大石神社」に行くと、大石内蔵助の家紋である右二つ巴を多く目にすることができます。
三つ巴の家紋の神社
三つ巴は神社の神紋として多く使用されています。
火災除けとしての意味をもっていたり、武神である八幡神の神紋として広がったことが理由として上げられます。
三つ巴の神紋を持つ神社を見ていきましょう。
石清水八幡宮
京都府八幡市にある石清水八幡宮は、必勝祈願にご利益のある神社として知られています。
名だたる名将も訪れたことで知られ、現在も日本全国から参拝者が訪れています。経営の神様と呼ばれるパナソニックの創始者、松下幸之助が信仰していたことでも有名な神社でしょう。
石清水八幡宮は平安京において鬼門を守る神社として、皇室や朝廷からもとても重要視されてきました。
そんな石清水八幡宮に参拝すると、至るところで三つ巴紋を見ることができます。
主に左三つ巴ですが、一箇所だけ右三つ巴が隠されています。完全に完成させてしまうと後は朽ちるのみなので、あえて未完成の場所を作り、これからの発展を願うと言った意味が込められています。
ぜひ石清水八幡宮へ足を運び、右三つ巴を探してみてはいかがでしょうか。